こんなお悩み、ありませんか?
- Illustratorの作業を自動化したいけど、スクリプトの書き方が分からない
- 生成AIを使ってみたものの、うまく動くコードが作れない
- AIに何をどう伝えればいいのか、プロンプトの書き方が分からない
Illustratorに慣れているグラフィックデザイナーの方でも、スクリプト開発となると「難しそう」「自分には無理かも」と感じてしまいがちです。でも最近は、ChatGPTのような生成AIを使うことで、自分でコードを書くことなくスクリプトを作ることも可能になってきました。
この記事では、プログラミング初心者のデザイナーでも、生成AIと一緒にIllustratorスクリプトをつくっていく方法を、やさしく丁寧に紹介します。作業を効率化して、もっとデザインに集中できる時間を増やしてみませんか?
Profile
この記事を書いている私は、DTPデザイナーとしてIllustratorの操作経験が15年以上あり、スクリプトも自分の業務で必要になったものを自ら作成し、デザイン作業の効率化を図っています。
最近では、当ブログでも自作スクリプトを公開しています。
関連記事:「完全無料」で作業の効率化!Illustratorスクリプト特集!
Illustratorをもっとラクに使えたら嬉しいですよね。
本記事では、「生成AIを活用したスクリプト開発」についてご紹介していますが、より深くIllustratorの機能を活用したい方は、こちらの「グラフィックデザインコース」がオススメです。
現場で役に立つテクニックが詰まっていて「これ明日から使える!」と感じる内容が豊富なので、せひチェックしてみてください
生成AIでスクリプトをつくる基本ステップ
やりたい操作を言葉にして整理する
まずは、「Illustratorでどんな作業を自動化したいか」を明確にします。 たとえば「複数アートボードをまとめてPNGで書き出したい」といった具体的な内容です。 この整理が、生成AIに伝えるときの土台になります。
AIに具体的な指示を出すコツ
次に、ChatGPTなどの生成AIに向けて内容を伝えます。 「Illustratorでこの操作を自動化したい」と書くだけでもOKです。 このとき、「出力形式はPNG」「保存先はデスクトップ」など、できるだけ細かく伝えると精度が上がります。
返ってきたコードを読み解くポイント
AIはコード(スクリプト)を返してくれます。 見慣れない言葉が並びますが、すべてを理解する必要はありません。 気になる部分はAIに「このコードはどういう意味?」と聞けば大丈夫です。
Illustratorに読み込んで動作を試す
コードはテキストエディタに貼り付けて保存し、「ファイル」>「スクリプト」から読み込んで実行します。 うまく動けば成功。もし動かなくても、エラー内容をそのままAIに聞けば、修正案が得られます。
これからテキストエディタを準備するという方には、次の記事を参考にしてください
関連記事:無料で使えるVS CodeでIllustratorスクリプトの開発環境を整えよう
次章では、成功するプロンプトの書き方を解説します。
成功するプロンプトの書き方:5つのポイント
生成AIを活用してIllustratorスクリプトをつくるには、「プロンプトの書き方」がとても重要です。適当に伝えるだけでは、思ったようなコードは返ってきません。ここでは、成功率を上げるための5つのコツと、深津式を活用したプロンプト例をご紹介します。
1. AIに「役割」を与える
2. やりたいこと(目的)を明確に伝える
3. 使用環境や技術的な制約を共有する
4. 操作内容と出力イメージを細かく説明する
5. フォーマットの希望があれば明示する
1. AIに「役割」を与える(深津式:Role)
最初に、AIにどんな専門家として答えてほしいかを伝えましょう。
たとえば:「あなたはAdobe Illustratorに精通したJavaScript開発者です」
これによって、より専門的で正確な回答を得やすくなります。
2. やりたいこと(目的)を明確に伝える(深津式:Goal)
ゴールがあいまいだと、AIも困ってしまいます。
「アートボードを一括でPNGとして書き出したい」など、操作の目的を具体的にしましょう。
3. 使用環境や技術的な制約を共有する(深津式:Constraint)
Illustratorはバージョンによって対応が異なります。
「Adobe Illustrator 2024」「Mac環境での使用」などは必ず書き添えましょう。
さらに、Illustratorスクリプトは「ExtendScript(ECMAScript 3ベース)」で動作します。
JavaScriptと似ていますが、Adobe独自の仕様を含んでいるため、生成AIにもその前提を伝えると安心です。
「使用言語はExtendScript。Illustrator 2024のMac版に対応させてください。」
4. 操作内容と出力イメージを細かく説明する
AIには人間のような常識がないため、「どのオブジェクトを」「どう処理して」「何を出力するのか」を細かく書くほど、狙い通りのコードが得られやすくなります。たとえば「選択したテキストオブジェクトを中央に揃えてPDFとして保存」など。
5. フォーマットの希望があれば明示する
「コードはJSX形式で」「日本語で簡単な解説コメントを入れてください」といった形式の指定も有効です。これにより、自分が扱いやすい形でコードを受け取ることができます。
こうした工夫を取り入れることで、生成AIからのコード出力は格段に的確になります。
ここで紹介した「深津式プロンプト」について詳しくは、下記の書籍を参考にしてください。
次章では、こうしたプロンプトで実際に生成された「便利なスクリプト例」をご紹介します。
実践!実務で役立つサンプルスクリプト
今回は、Illustratorでよくある作業「複数アートボードの一括書き出し」を自動化するスクリプトをご紹介します。
AIに正しく伝えることで、ほんの数秒で実用的なコードが手に入ります。
まずは、スクリプトで実現したいことを整理しましょう。
今回は「すべてのアートボードをPNG形式(300dpi)でデスクトップに書き出す」処理が目標です。
このとき、AIにただ「PNGで書き出したい」とだけ伝えても、思った通りのコードにならない場合があります。
そこで活躍するのが「深津式プロンプト」です。
これは、次の3つをセットで伝えることで、AIから的確なコードを引き出す方法です。
役割(Role):AIにどんな専門家としてふるまってもらうか
目的(Goal):どんな処理をしたいか
制約(Constraint):使用環境・技術仕様・出力形式などの条件
たとえば、以下のようなプロンプトを書いてみましょう。
あなたはAdobe Illustratorに精通したJavaScriptエンジニアです。
Mac環境で、Illustrator 2024に対応したExtendScript(JSX)を使用してください。
目的は、すべてのアートボードをPNG形式(300dpi)で一括書き出しすることです。
各アートボードは個別のファイルとして保存し、出力先はデスクトップです。
コード内には、日本語で簡単な説明コメントを入れてください。
このように構造的に伝えることで、AIは意図を正しく理解してくれます。
出力されたコードは、そのままIllustratorに読み込むだけで動作するはずです。
ただし、環境設定やコードの細かな違いによって、うまく動作しないこともあります。
そんなときは焦らず、次のように対処しましょう。
エラーが表示された場合は、そのエラーメッセージ全文をコピーします。
それをそのまま生成AIに貼り付けて、「このエラーの原因と直し方を教えて」と聞いてみましょう。
さらに「コードのどの行が問題か」や「Illustratorの設定を確認すべきか」も一緒に尋ねると、より正確なアドバイスが得られます。
また、スクリプトが動作しないときは、下記の記事も参考にしてください
関連記事:【簡単】Illustratorスクリプトが動かない時の解決策5選
次章では、この記事のまとめと、今後どのように学びを広げていけるかをご紹介します。
まとめ:生成AIで開発するスクリプト
Illustrator操作に慣れていても、スクリプトは別世界に感じる方が多いはずです。 ですが、生成AIの力を借りれば、そのハードルはぐっと下がります。
まずは「やりたいこと」を言葉で整理し、AIに正しく伝える。 そのコツとして深津式プロンプトを使えば、精度の高いコードが手に入ります。
役割(Role):専門家としての役割をAIに与える
目的(Goal):明確なゴールを伝える
制約(Constraint):使用環境や制約条件を明記する
たとえば「全アートボードをPNG形式で書き出す」だけでも、しっかり伝えれば動くスクリプトが完成します。 うまく動かないときも、AIにエラーを見せて質問すれば解決につながります。
まずは小さく試して、少しずつ慣れていきましょう。 きっと、AIとの協働があなたの制作スタイルを変えていきますよ。
というわけで今回は以上です。
『Illustrator自動化!生成AI×ExtendScript入門ガイド』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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