Illustratorで同じ作業を何度もくり返していると、少しの修正でも時間を取られます。
連番入力、文字の置き換え、レイヤー整理などは、できれば自動化したい作業です。
ただ、Illustratorスクリプトを自分で書くとなると、コードが苦手な人には少しハードルがあります。
そこで使いやすいのが生成AIです。
やりたい作業を日本語で伝えれば、Illustrator用のスクリプトを作る手助けをしてくれます。
ただし、AIにざっくり頼むだけでは、うまく動かないこともあります。
大事なのは、作業内容、対象、条件を具体的に伝えることです。
この記事では、Illustratorスクリプトを生成AIで作るときのプロンプト例、動かないときの修正指示、仕事データで使う前の注意点をまとめます。
コードが苦手でも、自分の作業をどう伝えればよいかがわかれば、スクリプト作成はかなり試しやすくなります。
ーProfileー
Illustrator歴15年以上のデザイナー。
本ブログでは、Illustratorスクリプトの活用や、DTP作業を楽にする業務効率化の方法を発信しています。
Illustratorスクリプトの基本を知りたい方は、
Illustratorスクリプト完全ガイドもあわせてご覧ください。
AIで作る前に決めること

生成AIでIllustratorスクリプトを作る前に、いきなり「スクリプトを作って」と頼むのは避けた方がいいです。
AIはIllustratorの画面を見ていません。
どのオブジェクトを対象にするのか、どんな処理をしたいのか、どこまで自動化したいのかを伝えないと、思った動きになりにくいです。
先に決めておきたいのは、次の3つです。
- 何を自動化したいか
- どれを処理対象にするか
- どんな条件で動かしたいか
何を自動化したいかを決める
まずは、どの作業を自動化したいのかを決めます。
たとえば、連番入力をしたい場合でも、指示の出し方で結果は変わります。
「連番を入れたい」だけだと、AIはどこに番号を入れるのか判断できません。
「選択したテキストフレームに、001から順番に番号を入れたい」と伝えると、かなり具体的になります。
文字削除でも同じです。
「文字を消したい」ではなく、 「選択したテキストから、指定した文字だけを削除したい」と伝えた方が、実務で使いやすいコードに近づきます。
処理対象を決める
次に、どれを処理するのかを決めます。
Illustratorには、テキスト、図形、画像、レイヤー、アートボードなど、いろいろな対象があります。
ここがあいまいだと、AIが勝手に処理範囲を広げてしまうことがあります。
特に仕事データで使う場合は、最初からドキュメント全体を対象にしない方が安全です。
まずは「選択したものだけ」を対象にすると、意図しない変更を減らせます。
動かす条件を決める
最後に、どんな条件で動かしたいかを決めます。
たとえば、次のような内容です。
- ロックされたレイヤーは処理しない
- 非表示レイヤーは対象にしない
- 選択したオブジェクトだけ処理する
- 処理前に確認ダイアログを出す
- エラーが出たら警告を表示する
触ってほしくない条件を先に書いておくと、実務で使いやすいスクリプトに近づきます。
AIに頼む前に、作業前の状態と作業後の状態を書き出しておく。
これだけでも、プロンプトの精度はかなり変わります。
次は、実際に生成AIへ伝えるときの基本形を見ていきます。
プロンプトの基本形

生成AIにIllustratorスクリプトを頼むときは、最初のプロンプトで方向性が決まります。
「Illustratorで使うスクリプトを作って」だけだと、AIが勝手に条件を補ってしまうことがあります。
その結果、選択していないオブジェクトまで処理したり、思った形式と違うコードになったりします。
最初から、使うアプリ、やりたい作業、対象、条件、出力形式をまとめて伝えると、実務で試しやすいコードに近づきます。
最初に役割を伝える
まずは、AIに何を作ってほしいのかを伝えます。
Illustrator用のスクリプトを作るなら、最初に以下のように書きます。
あなたはIllustratorスクリプトに詳しいエンジニアです。
Adobe Illustratorで使う.jsxスクリプトを作成してください。
この一文を入れると、Illustrator向けのコードとして話が進みやすくなります。
あわせて、IllustratorのバージョンやOSも伝えておくと安心です。
【環境】
・Adobe Illustrator 2024
・macOS
・スクリプト形式は.jsx
環境を書いておくと、保存形式や動作確認の話がズレにくくなります。
やりたい作業を具体的に書く
次に、何を自動化したいのかを書きます。
ここは、できるだけ普段の作業に近い言葉で大丈夫です。
たとえば、連番入力ならこのように書きます。
【やりたいこと】
選択したテキストフレームに、001、002、003のような連番を入れたいです。
文字削除なら、次のように書けます。
【やりたいこと】
選択したテキストから、指定した文字だけを一括で削除したいです。
ポイントは、「何を」「どこに」「どうしたいか」を分けて書くことです。
「連番を作りたい」より、 「選択したテキストフレームに001から連番を入れたい」の方が、AIに伝わりやすくなります。
条件を箇条書きで入れる
やりたいことを書いたら、次は条件を入れます。
条件は文章で長く書くより、箇条書きの方が伝わりやすいです。
【条件】
・選択したテキストフレームだけを対象にする
・開始番号は001
・桁数は3桁
・処理前に確認ダイアログを表示する
・処理が終わったら完了メッセージを出す
・コード内にわかりやすいコメントを入れる
特に仕事データで使う場合は、処理範囲を狭くしておくと安心です
最初からドキュメント全体を対象にするより、 「選択したものだけ」を対象にした方が、意図しない変更を減らせます。
コピペ用の基本プロンプト
最初に試すなら、以下の形で十分です。
あなたはIllustratorスクリプトに詳しいエンジニアです。
Adobe Illustratorで使う.jsxスクリプトを作成してください。
【やりたいこと】
選択したテキストフレームに、001、002、003のような連番を入れたいです。
【条件】
・選択したテキストフレームだけを対象にする
・開始番号は001
・桁数は3桁
・処理前に確認ダイアログを表示する
・処理が終わったら完了メッセージを出す
・コード内にわかりやすいコメントを入れる
【環境】
・Adobe Illustrator 2024
・macOS
・スクリプト形式は.jsx
【出力】
・完成した.jsxコードを全文で出してください
・コードの後に、使い方を短く説明してください
この形にしておくと、AIが何を作ればよいか判断しやすくなります。
慣れてきたら、開始番号、桁数、対象、確認画面の有無などを自分の作業に合わせて変えてください。
使う生成AIによって、コードの出し方や修正のしやすさは少し変わります。
ChatGPT、Claude、Geminiなどの違いを知りたい場合は、
Illustratorスクリプト作成におすすめのAI比較も参考にしてください。
AIに頼むコツは、きれいな文章を書くことではありません。
作業内容を具体的に分けて伝えることです。
次は、AIが出したコードを.jsxファイルとして保存し、Illustratorで実行する流れを見ていきます。
.jsxで保存して実行する

生成AIが作ったコードは、そのままIllustratorに貼り付けるのではなく、.jsxファイルとして保存してから実行します。
.jsxは、Illustratorスクリプトでよく使われるファイル形式です。
流れはシンプルです。
- AIが出したコードをコピーする
- テキストエディタに貼り付ける
- 拡張子を.jsxにして保存する
- Illustratorから実行する
コードを.jsxで保存する
まず、生成AIが出したコードをコピーします。
そのコードを、VS Codeやメモ帳などのテキストエディタに貼り付けます。
保存するときは、ファイル名の最後を.jsxにします。
たとえば、連番入力のスクリプトなら次のような名前で保存します。
text_number.jsx
Windowsの場合、ファイル名がtext_number.jsx.txtになっていないか確認してください。
拡張子が.txtのままだと、Illustratorスクリプトとして実行できない場合があります。
コードを見やすく編集したい場合は、VS Codeを使うと便利です。
VS Codeの入れ方や初期設定は、 【Illustratorスクリプト用VS Code設定】でまとめています。
Illustratorで実行する
保存した.jsxファイルは、Illustratorから実行できます。
基本の流れは次の通りです。
- 1.ファイル
- 2.スクリプト
- 3.その他のスクリプト
- 4.保存した.jsxファイルを選択
実行前には、処理したいテキストやオブジェクトを選択しておきます。
プロンプトで「選択したものだけを対象にする」と指示した場合は、選択がないと正しく動かないことがあります。
動かない場合は、まず次の点を確認してください。
- .jsxで保存できているか
- Illustratorでファイルを開いているか
- 対象のオブジェクトを選択しているか
- AIに伝えた条件と実際の操作が合っているか
AIで作ったコードは、まず.jsxで保存して、Illustrator上で動きを確認します。
ここまでできれば、AIが作ったコードを実際に試す準備は完了です。
次は、実行してもうまく動かないときの修正指示を見ていきます。
動かないときの修正指示

生成AIが作ったIllustratorスクリプトは、最初から思った通りに動くとは限りません。
エラーが出る場合もあれば、何も起きない場合もあります。
そのときは、AIに「動きません」とだけ伝えるのではなく、エラー内容と実行時の状況をセットで伝えます。
どの環境で、何を選択して、どの操作をしたのか。
ここまで書くと、AIが原因を絞り込みやすくなります。
エラー文をそのまま送る
エラーが表示された場合は、まずエラー文をそのままAIに送ります。
一部だけ抜き出すより、表示された内容をできるだけそのまま貼り付けた方が伝わりやすいです。
先ほど作成してもらったIllustratorスクリプトを実行したところ、以下のエラーが出ました。
【エラー内容】
ここに表示されたエラー文を貼り付けます。
原因を短く説明したうえで、修正版の.jsxコードを全文で出してください。
スクリーンショットだけだと、AIが文字を読み間違えることがあります。
できれば、エラー文はテキストでも貼り付けてください。
エラーの原因がコードなのか、保存形式や選択状態なのか迷う場合は、【 Illustratorスクリプトが動かない時の解決策】もあわせて確認すると切り分けしやすいです。
実行時の状況を伝える
エラー文だけでは、原因がわからない場合もあります。
次のような情報も一緒に伝えると、修正しやすくなります。
- Illustratorのバージョン
- MacかWindowsか
- 何を選択していたか
- どの操作で実行したか
- エラーが出たのか、何も起きなかったのか
- 一部だけ動いたのか、まったく動かなかったのか
たとえば、テキスト用のスクリプトなのに図形を選択していると、正しく動かないことがあります。
「テキストフレームを3つ選択して実行しました」
「何も選択せずに実行しました」
このように書くだけでも、AIは確認する場所を絞りやすくなります。
エラーが出ない場合は、次のように伝えるとよいです。
エラーは出ませんが、実行しても何も変わりません。
【実行時の状況】
・Illustratorでファイルは開いています
・テキストフレームを選択しています
・ファイル → スクリプト → その他のスクリプト から実行しました
選択対象を正しく取得できているか確認し、修正版の.jsxコードを全文で出してください。
「何も起きない」だけでは、AIも判断しにくいです。
実行前の状態と、実行後にどうなったかをセットで伝えましょう。
修正版コードを全文で出してもらう
修正を依頼するときは、変更点だけではなく、コード全文を出してもらう方が安全です。
コードに慣れていない場合、一部だけ差し替えると貼り付け場所で迷いやすくなります。
次のように依頼すると、確認しやすいです。
以下の条件で修正してください。
【状況】
・Adobe Illustrator 2024
・macOS
・テキストフレームを3つ選択して実行
・実行すると途中で止まります
【エラー内容】
ここにエラー文を貼り付けます。
【修正してほしいこと】
・原因を短く説明してください
・修正版の.jsxコードを全文で出してください
・どこを修正したのかも簡単に教えてください
この形なら、原因、修正版、変更点をまとめて確認できます。
あとは全文をコピーして、.jsxとして保存し直せば試しやすくなります。
自作スクリプトを安定させたい場合は、 エラーに強いスクリプト作成の考え方も参考になります。
AIに修正を頼むときは、エラー文と状況をセットで伝える。
これだけで、修正版の精度はかなり変わります。
ただし、修正後のコードもそのまま本番データで使うのではなく、次の注意点を確認してから試してください。
AIを使うときの注意点

生成AIでIllustratorスクリプトを作れると、作業の自動化はかなり試しやすくなります。
ただし、AIが出したコードをそのまま仕事データで使うのは避けた方が安心です。
AIは便利ですが、Illustratorのデータ構造や作業内容を完全に理解しているわけではありません。
意図しないオブジェクトを変更したり、処理対象が広くなりすぎたりすることがあります。
使う前には、安全に試す流れを作っておきましょう。
コピーしたデータで試す
AIが作ったスクリプトは、最初にコピーしたデータで試してください。
元データでいきなり実行すると、意図しない変更が入ったときに戻せなくなる場合があります。
特に注意したいのは、次のような処理です。
- 文字を削除する
- レイヤーを削除する
- オブジェクトを移動する
- ファイルを保存する
- 名前を一括変更する
これらの処理は便利ですが、失敗したときの影響も大きいです。
まずは、テスト用のIllustratorファイルを作り、そこで動きを確認します。
問題なく動くことを確認してから、実際のデータで使う方が安全です。
処理範囲を広げすぎない
最初に作るスクリプトは、処理範囲を狭くしておくのがおすすめです。
たとえば、いきなりドキュメント全体を対象にするより、 「選択したオブジェクトだけ」を対象にした方が安心です。
プロンプトでも、次のように指定しておくと安全です。
選択したオブジェクトだけを対象にしてください。
ドキュメント全体は処理しないでください。
ロックされたレイヤーや非表示レイヤーは変更しないでください。
このように書いておくと、AIが処理範囲を勝手に広げにくくなります。
慣れるまでは、対象を限定して作る。
これだけでも、仕事データでの失敗をかなり減らせます。
削除や保存の処理は慎重に使う
削除や保存を含むスクリプトは、特に慎重に扱ってください。
たとえば、空レイヤーを削除する処理や、ファイル名を変えて保存する処理は、作業を大きく変える可能性があります。
AIに頼むときは、確認ダイアログを出すように指示すると安心です。
削除や保存を実行する前に、確認ダイアログを表示してください。
キャンセルを押した場合は、何も処理しないようにしてください。
さらに、別名保存にできる処理なら、元データを上書きしない形にしておくと安心です。
仕事で使う場合は、便利さよりも、元に戻せることを優先した方が安全です。
最後は自分で確認する
生成AIが出したコードは、見た目がきれいでも、必ず正しいとは限りません。
エラーが出ないまま、意図と違う処理をすることもあります。
そのため、処理後のデータは自分で確認してください。
たとえば、
- 連番が正しい順番で入っているか。
- 削除したい文字だけが消えているか。
- レイヤーやオブジェクトが意図せず変わっていないか。
このあたりを確認してから、実際の作業に使うと安心です。
AIは、スクリプト作成を手伝ってくれる道具です。
最後に判断するのは、実際にIllustratorで作業している自分です。
安全に試す流れを作っておけば、生成AIでのスクリプト作成はかなり使いやすくなります。
生成AIでスクリプトを作る流れをつかんだら、実際にどこまで改造できるのかも見ておくとイメージしやすくなります。
以前作った戦闘画面だけのIllustratorスクリプトを、生成AIでマップ移動付きに改造した流れは、生成AIでIllustratorスクリプトを改造した実例 で紹介しています。
次は、ここまでの内容をまとめます。
まとめ:AIには具体的に指示する

Illustratorスクリプトは、生成AIを使うと作りやすくなります。
コードを一から書けなくても、やりたい作業を日本語で伝えれば、スクリプト作成の手助けをしてくれます。
ただし、AIにざっくり頼むだけでは、思った通りに動かないこともあります。
大事なのは、作業内容を具体的に伝えることです。
特に、次の3つは先に整理しておくと安心です。
- 何を自動化したいか
- どれを処理対象にするか
- どんな条件で動かしたいか
動かないときも、エラー文や実行時の状況をセットで送る方が修正しやすいです。
また、生成AIが出したコードは、いきなり仕事データで使わず、コピーしたデータで確認してください。
問題なく動くことを確認してから、実際の作業に使う流れが安心です。
生成AIでスクリプトを作るコツは、AIに任せきりにしないことです。
自分の作業内容を整理して、具体的に伝えながら、少しずつ修正していく。
この流れに慣れると、Illustratorのくり返し作業を自分用に自動化しやすくなります。
生成AIでIllustratorスクリプトを作る方法が分かっても、次に必要なものは人によって異なります。
独学を続けたい方はAIツールの比較を、何度試しても作業が進まない方は学び方の違いを確認してみてください。


















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